若い頃、競馬で沢山失敗しました

epic Racing編集部 2019/11/26 14:09

正確には、諸々の事情が絡み、結果的に馬券でも失敗したなという感じ。
単純に、外れ馬券を買い続けたわけじゃありません。

23歳で独立し、事業を始めた私。
あまりにも経験が不足していて、沢山の苦労をしてきました。
でもこれって、実は苦労じゃないんですよね。
自分の認識の甘さによる、要は自業自得です。

まぁ、そんな話はいいですね。
競馬の話に持っていかないと。

最も印象に残っているのは、翌日に200万円の手形の決済を控えての競馬でした。
手元にあるお金は、40万円です。
この40万円は、前日の土曜日に、競馬で勝ったお金です。
5万円が40万円になっていました。

当時は馬鹿みたいな金額を入れてました。しかも枠連です。
競馬をなめていた私は、枠連2点に2万ずつとか、普通に買ってました。
うまくいけば、すぐに数十万円になっていましたね。
競馬で運転資金を捻出するという、バカ丸出しの若造でした。

翌日が手形の決済で、何とかこの40万円を200万円にしようと考えていました。
手に負えないバカです。

阪神だったか、京都だったか、そこはハッキリ覚えていません。
とにかくその、最終レースに突っ込むことにしました。
メインレースではなく、最終レースです。やっぱりバカだなと思いますね。

人混みの中では、集中して予想できません。
私は一人になりたくて、トイレに篭城しました。

その最終レースは、人気が割れていたんだと思います。
200万円のプラスを計上するには、6倍の配当が必要です。
たまたまそのレースには、6倍の枠連が2通りありました。

「20万円ずつ2点買って、120万円回収するのも手じゃないか」。
心の中で葛藤します。
しかし、とにかく当時の私は若かった。
「どっちみち120万円じゃ、手形は落とせない」。そっちの思考が勝つんですね。

どっちかの枠連1点に、40万円入れる。
そう結論を出すのに、そんなに時間はかからなかったと記憶しています。
そして、いずれかの枠連の買い目に決めました。

当時は、おばちゃんが座っている窓口で買うのが一般的でした。
どんな顔して馬券を買ったのか、想像もつきません。
でも窓口のおばちゃんが、なんとなく切なそうな表情だったのを、ボンヤリ覚えています。
多分自分、悲壮感漂ってたんでしょうね。

とにかく40万円分の馬券を買いました。
そして、いよいよ発走です。

その時今でも良く覚えてるんですが、「このレースハズレるな」と思いました。
心底当たってほしかったけど、同時にハズレるって、本当に覚悟しました。
なぜそう感じたのか、それは今でも分かりません。

そしてレースですが、やっぱりハズレ。
しかも結果は、迷ったもう一方の枠連で決まりました。
想像されていたと思いますが、競馬ってそういうもんです。
裏目で決まるんですよね。ギャンブルは総じて。

でも裏で決まったのは、自分にとってだけの話で、それが正解だったということです。

人間追い詰められたら、周りが見えないんですね。
裏のことまで、思考がついていかないんです。
自分ではしっかり検討したつもりでも、実は競馬に飲み込まれている。

普段何気なく外している馬券。
「あー、またダメだった」と、流してはいけないと思いますね。
何か問題があったはずです。
一番可能性が高いのは、「買ってはいけないレースを、よく検討せずに買ってしまった」のではないでしょうか。
この「分かっているつもり馬券」が、競馬では本当に怖いです。
あれよあれよと、渦に飲み込まれていくような感じですかね。
なかなか状況を変えることはできません。

馬券を的中させるのは大事ですが、危険を回避するのはもっと大事です。

回収率を上げようとして、誰だって馬券を買います。
しかし実際には、馬券を買った時点で、自分で回収率を下げています。
一旦下げて、そこからプラスにするんですから、並大抵ではありません。
買わなければ、回収率が下がることはありません。
そこはとても重要なことですね。

本当に買えるレースなんて、一日で数レースです。
そういうレースが見つかれば、それ以外のレースは、アホらしくて買えません。
そうなって初めて、スタートラインに立ったことになると思います。
そこからは、予想力の勝負。
厳選したレースがダメだったら、それは受け入れて諦めるしかありません。
次に生かすしかないですね。

馬券は買わないと勝てませんが、買わないことが勝利に近づくのも確かです。
そこを見極めるのも、競馬の醍醐味です。
「やっぱり買わなくて正解だった」。
そういうレースが増えれば、自然と収支は向上するんではないでしょうか。
私も随分、大人になったものです。

最終レースで惨敗した私は、当時の出資者に頭を下げに行きました。
とても可愛がって下さり、無利子で手形の決済資金を融通して下さいました。
「競馬で負けました」と、正直に言ったのが良かったんでしょうかね。

でもその時その恩人から、「もっと大きなレースでやれ」と言われました。
普通「競馬なんてやるな」って言いませんかね。

それが良かったのか悪かったのか、私は今でも馬券を買っています。
買い方は随分大人になりましたけどね。

恩人は色々あって、今は沖縄にいらっしゃるようです。
何年も話していませんが、実はその方こそ、私を競馬に誘った人。
そして私に、単勝の魅力を教えてくれた人です。

その後私は、単勝だけでは資金が回らないことを知りました。
色々なことがありながら、もう何十年と単複を買い続けています。

私にとっては、3連単より熱い馬券が単勝。
でも資金が枯渇しないよう、必ず複勝は買う。

誰にでも、理論にはバックボーンがあるんですよね。